「淡路島と言えば?」と聞かれたら、「玉ねぎ!」と答える人も少なくないかもしれないが、実は、線香の生産量が堂々の国内第1位なのである。香司と呼ばれる香りのマイスターが日本で唯一存在し(しかも14人!)、そのシェアは全国生産の7割をも占めるほど。淡路島は「香りの島」と呼ばれるにふさわしいのだ。
淡路で線香づくりがはじまったのは、江戸後期の1850年の頃。西岸に位置する江井浦(現淡路市江井地区)の人たちが、泉州・堺の職人から技術を学んだのが起源だという。原材料や製品の物流に便利な立地であった他、播磨灘から吹き寄せる風が線香の乾燥に最適なことも手伝って、瞬く間に一大産地へと発展した。さらに遡れば、淡路島は日本書紀にも香木がたどり着いた島として記述されているという。1000年以上の時を経て香りの産地となったのは、運命の悪戯だろうか。
伝統的な製法と熟練の職人技によって、優雅で奥深い香りを生み出すのが特徴の淡路産線香。現在では、仏壇で使うような伝統的なものだけでなく、日常の中でも使いやすい香りやデザインの商品が多く生まれている。淡路市のふるさと納税で、暮らしの香りを着替えてみるのはいかがだろうか。